家督相続から法定相続へ

戦前の日本は家の跡取り、長男が全ての財産を引き継ぐ家督相続でした。

長男が全ての財産を引き継いで一家を守っていと言う使命を背負ってました。

農業が産業の中心だったので畑や田んぼを家を継ぐ人が全て相続して一族を守っていくと言う事は当たり前だったと思います。

しかし、戦後に民法が改正されて、家督相続は廃止になり法定相続と言う、皆が平等に財産を相続する様になりました。

産業も多様化し、農業だけでなく製造業やサービス業も発展したり、男女間の不平等も時代に合わなくなってきた事もあり、家督相続が時代の価値観と合わなくなってきたのです。

いまは法定相続なので、相続人はみんな財産を平等に相続する権利を待っています。財産の大きさに関わらず、子供が2人なら2分の1ずつ、3人ならば3分の1ずつともらう権利があります。

そしてこれが色々な争いを引き起こす要因になるんです。

一年間で遺産争いの裁判は約13,000件起きていますが、その内の75%は遺産の総額が5,000万円以下なんです。そして争いの原因の半分近くが不動産と言われてます。

私の想像ですが、これって実家を誰がどう引き継ぐかで争いになったのでは?思っています。

生まれ育った実家が原因で兄弟姉妹が裁判で争う事は親にとってとても悲しい事です。なんとか避けて家族みんなが仲良くしてほしい、そのために必要な事とは?

最近、役割相続という言葉を聞くことが増えてきました。

役割相続とは故人の意思や相続人の役割を考慮した相続の事です。

役割相続とは

役割相続とは故人が考えていた家族の在り方や、する子供たちが家族にとってどの様な役割を担っているか、また今後担っていくかを踏まえた相続です。

働く場所が多様化し、自分の生まれ育った場所から離れて暮らす方は多くなっていますし、もう実家には戻ることがなく購入した今の家が地元になっていたりもします。

一方で親の近くに住んで介護の事や地域の事をやりながら実家を守っていく役割を担う方もいます。

こういった相続人が担う役割に応じて、相続させる財産を検討していく事が役割相続であり、これからの時代には必要なことだと思います。

しかし、何もしなければ法律で定められた法定相続で分割をするしかなく、子供たちそれぞれの想いがぶつかってしまい相続が争族になってしまうかもしれません。

想いを伝える役割相続を実現するには、元気な内に自分の考えをしっかりと伝えることが重要です。

方法としてはエンディングノートや遺言などがありますが、強く想いを実行させたいのであれば遺言を書くことをおすすめします。

しかし、ここで大切なことは、決して自分だけの想いで書くのではなく、引き継ぐ子供たちを交えて家族で話をしながら書いてほしいのです。

というのも、自分の想いだけで作成してしまうと、後から遺言をみた子供たちが不満を持って争いになってしまう事もあるからです。

家族で集まって、皆の想いを話すことで同じ考えで遺言を作ることが出来ます。

ただ、なかなか家族で話し合うと言ってもどうすれば良いか、どうやって話を進めていくのかわからないという方に、我々相続コンサルタントはいるのです。

子供たちにこうなってほしいという想いや、子供たちがどう思っているかを、第3者として意見を聞き、家族全体が最適な相続が何かを一緒に考えていきます。

最後に

なかなか相続というと、まだ考える時期ではないとか元気だからまだ早いとか思い、話し合いをする機会が作れないかと思いますが、これは元気な時にしかできない事なんです。

そして、早くお話した方が、家族の想いを共有できて、そこから解決策を検討し実行することもできるのです。

相続が発生した後ではやれることがかなり限られ、また突然に判断しなくてはいけない事で争いが起きてしまいます。

早い時期に元気な内に家族で想いを話し合う機会を作ってください!

そして役割相続でみなさんが笑顔になる相続を迎えてほしいと思います。

この記事を書いた人

村上 寛紀

村上 寛紀

1997年4月にスターツ株式会社に入社。
約10年間資産家の土地有効活用事業提案営業に従事。
その後、愛知県に異動し豊田市にて土地活用事業の立上げ業務を行う。2023年株式会社Prop-upを設立、代表取締役に就任。不動産相続コンサルタントとして、不動産を保有する方の相続対策のサポートを手掛けている。