会計における不動産の再評価について
大学院で講義を受けました。建物と土地の再評価についての講義だったのですが、自分の中では色々と今までの経験や聞いてきた知識がつながっていく講義で面白かったです!
不動産はそれぞれにプライス(価格)が違い、価格性が複雑で個別性が強いものです。
不動産の評価というものは、企業にとって業績を大きく左右するものであり、投資家にとっても企業の現状を正確に把握する上でとても重要な評価です。
この評価で日本の歴史で大きなポイントとなった2つについてとても理解が深まりました。
建物の再評価
1つ目のポイントは戦後です。
日本は明治時代から取得原価を評価として使っていましたが、戦後になり物価上昇が激しくなっていく中で、企業の会計で建物の減価償却費が低くなり利益がたくさんでてしまうようになりました。
それはつまり、法人税が高くなるということで、企業からキャッシュが流出し、体質が弱くなってしまい、特に製造業では新たな設備投資などができなくなってしまいました。
戦後の日本が復興するためには製造業が頑張ることが不可欠の中、この問題を解決するために建物の再評価を導入することになります。
インフレに合わせて建物を再評価することにより、現状に合わせた価格で減価償却ができる様になり、製造業が体質を強くできて投資に資金を回すことができ、戦後の日本復興につながっていくのです。
土地の再評価
2つ目のポイントはバブル経済崩壊後です。
この時は土地をベースとした再評価が行われました。
何故かというと銀行を救出するためです。
1992年にバブルが崩壊し金融機関への影響が大きく出ていた時代です。
これはバブルの時に担保価値に関係なく大きな融資をしていたことが原因です。
ここから銀行の財務体質が弱くなり、経営も悪くなっていき、あり得ないと思っていた銀行の破綻が現実に起きたのです。そこで、銀行を助けなくてはいけないという事になります。
何をやるかというと、銀行の貸借対照表で自己資本比率を引き上げて改善させることが求められました。
銀行には昔に買った土地が多くあるので再評価することで資産を多くすることが出来るのです。
資産が増加すれば、資本も大きくなり自己資本比率も上昇することになります。
戦後の建物再評価は減価償却を多くしてキャッシュを増加させるために行われましたが土地再評価は自己資本比率を上げて体制を強くするために行われました。
この土地再評価は1998年から2002年の5年間行われ2000年からは上場企業も任意で選択ができました。
ここで面白いのが、差益をだす企業だけではなく差損を出す企業もあったのです。
これ実はこの後に出てくる減損会計につながる話で、2006年には採用が義務化されていくので事前に土地再評価で差損をだして減損会計に向かってソフトランディングをする思惑があったと考えられます。
まとめ
この土地の再評価から減損会計は、私が社会人になった時に新聞でみて単語だけはおぼろげに覚えていましたが、このような背景を理解することで、土地や建物の評価というものは企業の経営にものすごい重要なものであると感じました。
相続も土地や建物を評価することは必ず必要になります。
次世代に良い形で資産を渡すために、つながっていければと思います。